自転車の世界にはこういった嗜好を持つ人は結構多く、「ヒルクライム」という一つのスタイルが確立しているぐらいです。見せ物としても面白味があるのかイベントも多く、有名な「ツール・ド・フランス」などでも「山岳ステージ」という言葉が存在します。
それで、日本でこのヒルクライムのイベントというと、今回の主題である「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」というのが有名です。毎年、8月の終わり頃に開催され、今年で24回目を迎えます。
このイベントは、普段はクルマなどの侵入が禁止されている乗鞍高原の山岳部を、豪勢にも半日貸し切って走ろう、という内容で、標高差や斜度のキツさもポイントですが、滅多に入れないエリアを満喫できるという楽しさがあります。
もちろん、最大の味はコースのキツさ。スタートの乗鞍観光センター前からゴールの乗鞍高原鶴ヶ池付近まで、全長は20.5kmとたいしたことありませんが、標高差は1,260m。平均斜度6.15%、最大斜度15%というなかなかのブッ飛び具合。
下図を参照してほしいですが、途中、平坦なところはなく最後に僅かな緩い下りがあるだけ。基本はずーっと上っています。経験者は分かると思いますが、その光景はまさに富士山登山と同じ。あそこみたいに、ひたすら上っていて、さらに背の高い樹木が少ないので、延々先を行く走者が見えます。
「うー、あんなに先まで上るのか」「まだ先があるのー」と、定番のうめきを覚えるのは確かです。
それで、なんでその臨場感が分かるの? というと、ぼくはこのイベントに過去2回参加経験があるのです(その後、別用でスクーターで上ったこともあり)。
初めの時の記録は728人中72位。その翌年はなぜか記録がどうしても見当たらないのですが、確か似たようなものだったと思います。傑作なのが、1回目はホームセンターで購入した2万円強のMTB(丸石)で参加、2回目はフルサス(前後にサスペンションが付いている、という意味)のMTB(GT)で参加。どちらも、とても山岳ルートに挑む仕様ではありませんでした。でも、おもしろかった。延々、ひたすら上りまくり。一度もマシンから下りることは許されないのです。
ここ数年は、久しぶりに出ようかなー、と調べても募集を締め切ってたり定員オーバーで参加できず、あまりに人気でとうとう抽選制になって、今年は忘れずにエントリーしたらめでたく当選した次第。

チェックポイントが2箇所あり、それぞれ給水可能な他、ここでは恐怖の足切りイベントが発生します。

このルートのいやらしいところは、初めと後半、それと最後にキツい斜度が待ちかまえていることです。
ちなみに、聞いた話しだといつ頃からかトランスポンダー(携行型計測機。正確には、無線中継機)が導入されたらしいので、過去よりもタイムは正確になると思います。というのが、ぼくが参加した頃(まだ一桁台開催)は確かまだ手動計測で、それなのにスタートの合図が鳴らされてからスタートゲートを通過するのに10分以上かかっていたのです。理由は、合計参加人数が6,000人近く、でもMTBは最後尾集団からスタート。参加比率でMTBは僅少、前集団を形成する圧倒数のロードバイクがこなれて、ようやく前に進めていたのです。待たされて、ようやく進み出してもMTBを手で押してノロノロ歩いてました。ですから、2回とも誰かに抜かれるということはなく、ひたすら前を走るロードバイクを抜いていました。トランスポンダーは、スタートゲートを通過した時点でマシンに取り付けられた機器とゲートに設置された機器のやりとり(通信)で計測がスタート。ゴールにも機器が設置されていて、これとのやりとりで計測がストップします。
まあ、当時よりあきらかに身体は衰えているので、気負わずに走ってこようと思います。かなり先の話なので、少しはトレーニングまがいの事をやって。
ちなみに、今回の参加にあたって問題がひとつ。それは、山岳に適したマシンを相変わらず1台も持っていないこと。
……、どうするんでしょうね……(汗。
やかん